秘密の恋の始め方

「そうだよ! がんばって降りたんだから!」

何故そこで胸を張るんだ、ユズコ。

「あー、あれね。一応心配だったから陰に隠れてユズコが降りてくるまで見守っててあげたんだけど、傑作だったわよ。もう足着くってのに窓枠に指先引っ掛けてぎゃあって叫んでたからね、この子」

「………よくばれなかったね」

「まったくね」

思わずひっそり千沙ちゃんと会話を交わせば、珍しくぶすくれた調子のユズコの声が飛び込んでくる。

「なんでそこそんなに親密そうなのさっ! 奏太はあたしのっ……!」

「あんたの?」

「ユズコの?」

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