秘密の恋の始め方
切なくなんかなってたまるか! って言うか俺は振られてないから! って言うか別に何もなかったから!
地団駄を思いっきり踏み鳴らしたいのを我慢して、シュートを放つ。あ、外れた。
やっぱりショックだったんだよなんて同情いっぱいの視線を背中に感じる。
振り返るのも癪で、俺は体育館の隅に転がったボールを拾いにとぼとぼ歩く。
ボールの先にいたマネージャーが満面の笑顔で歩いてきた俺に手渡してくれた。ああ、可愛いなぁ。ちょっと癒され……
「はい、高倉くん。落ち込んじゃ駄目だよ? ファイト!」
「………ありがと」
癒されねぇ! ちっとも癒されねー。悪気の欠片もないそれに脱力してへにゃっとしゃがみこむ。