秘密の恋の始め方
「お前さ」
つ、と奏太が距離を詰める。
近づいてきた真面目な顔にあたしはそれ以上後退する事が出来なくて、でも視線を合わせるのなんて無理だった。
勝手に顔が赤くなるんだってば、何なのこの条件反射。
「いやいいや、ユズコそういうのほんと鈍いもんな」
諦めたようにため息をついて奏太は大げさに肩をすくめる。
「なっなによそれ! あたしの何が鈍いのさっ」
思わずカチンと来て言い返せば、奏太の冷たい視線に心臓をえぐられた。でもそれは次の瞬間、ふと緩められて
「……じゃあ聞くけど。ユズコ、俺がユズコのこと好きだって知らなかったでしょ」