もし会いにきてくれたら、もう離さない


――――


「うぁ〜あちぃな」


車のほとんど通らない道を二人で並んで歩く。


「何もしてねぇのに、汗だく。あちぃ。しかもゲーセンまでこんなに歩くなんて考えらんねぇ。」



「昔は恭ちゃんだって、当たり前に歩いてたよ。運動不足なんだよ。」


「お、言うねぇ、俺だって、すごいんだぞ。毎日ジムに通って、インストラクターになりませんかってスカウトされるくらい、スポーツマンなんだからな。」



「え、嘘、ほんとに?恭ちゃんすごい!」


「…嘘に決まってんじゃん。」


「ひどいっまたからかって…ぷっあはは、恭ちゃんなにその顔〜」



「やっと笑ったな、紗智は笑ってなきゃ、ただのおかちめんこなんだからな。」


「何それ、ひどい。」


「はは、可愛いよ、紗智は。」


「それ本気で言ってないでしょ。」



簡単に恭ちゃんの嘘に騙されて、それをからかうのが好きだという恭ちゃんを見るのが好きだった。


本気じゃなくてもいいんだって、せめて恭ちゃんがここに居るときだけは、恭ちゃんの彼女気分でいたいって、それだけで充分だって、そう思っていたはずなのに。




…それだけじゃ足りなくなったのはいつからだろう。

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