赤の世界
「ばいばい」
最後の挨拶は簡単に。
きっと最近で一番
安らかな表情だったはずだ。
心が落ち着いている。
やめろって
景が大きな大きな声で叫んだ。
だけど俺は止めずに
あの太陽に飛び込むように
マンションの縁を離れた。
赤い赤い光。
赤い赤い景色。
雪と二人で眺めた景色と
何も変わっていないのに。
ただ雪だけがいない。
だから俺が会いに行く。
宙を落ちていく中で――
綺麗な朝焼けを見ながら――
俺は、意識を失った。