Blood†Tear
灰色の空から、赤い雫が落ちてきた。
ポツリ、ポツリと間を空けて落ちてくる。
見上げると、血だらけの女性の姿があった。
焼け残った木に吊される、銀髪の女性。
左足首にロープを巻かれ、逆さ吊りにされた彼女。
逆立った髪に血が流れ、銀から赤へと色を変えて行く。
両腕は力無くぶら下がり、指先に溜まった血は耐えかねて雫となる。
その雫は彼女を真下から見上げる男性の頬に落ち、器用にそれを舐めると嫌味に笑う。
彼女の苦しむ顔がもっと見たくて、宙に浮く短剣を操り腹部の傷を更にえぐろうと行動に出る。
だが、彼は何かに気づき地を蹴るとその場から逃げた。
跳んだ瞬間、地に突き刺さる剣。
何者かの乱入に舌打ちをする彼は短剣を手に取った。
「邪魔、しないでくれるかな?」
ロープを切りクレアを下ろすのは茶髪の男性。
彼女の状態を確認すると悔しそうに唇を噛む。
「…貴様ーー!」
スカイブルーの瞳で睨み斬りかかるのはコウガ。
その瞳は怒りで満ちている。
「面倒だな……」
振り下ろされた剣を軽く交わすが、次いでやってきた突きには対処しきれず横腹を刃が掠める。
血が滲むローブを見つめると、コウガの素早い攻撃に目を細めた。
間髪をいれず繰り出される剣戟を素早い身のこなしで避けると、剣を握り直した一瞬の隙にコウガの後ろに回り込む。
「背中がら空きだよ?」
「…っ……糞っ……!」
すぐさま反応し、振り返りながら剣を振るう。
一度彼から離れ息を整えるコウガ。
血が流れる肩へと一瞬目を向けるとフリードを睨む。
しかし、前方へと目を向けた瞬間、猛スピードで飛んでくる数本の短剣が目に入った。
剣を地に差し反動をつけると、身を捻りながら宙を舞う。
全ての短剣を交わすが、獲物を捕らえ損ねたそれは軌道を変え、空中で身動きの取れない彼を斬り裂いた。