Blood†Tear

突然の事に驚いたが、彼女は軽やかに着地した。



 「我が名はセルビア・フォールン。神をも越える力を持つ者よ」

床に足を着け顔を上げると彼女は言った。
どこからか吹いた風に靡く髪。
隠れた左目が露わとなった。
それは虹色に光る不思議な瞳。
初めて見るそれに釘付けになる。

コウガは数秒その瞳を見つめていると…



 「目を見ては駄目です……」


その声と共に目を塞がれてしまった。

視界を失い驚きながら声の方へと顔を向けると、少女から目を逸らすジークの姿があった。



 「心配しなくとも、君に興味はない。力を使う度命を削る能力など、我には必要ない」


 「フンッ……死ぬのが怖いと言う訳ですか……」


目を逸らすジークに嫌みに言うセルビア。
そんな彼女に対しジークは鼻で笑い、2人は何故か言い争いだした。



話が見えず数回まばたきを繰り返していると…



 「彼女の虹色の左目は、見つめた相手の力を取り込む事ができるのです。」


コウガの傍にいたリオンが説明するように話してくれた。



 「見つめただけで、相手の力を自分のものにできると?」


 「はい。彼女はどんな力も手に入れる事ができる。全ての力を手にすれば、神さえも殺せる。だから彼女は神殺しと呼ばれ、そして孤独になった……」


悲しそうな顔をしたリオン。
彼の言葉に疑問を抱きながら、ふと先程の事を思い出していた。



初めて彼女と会った時、彼女は待っていたと言った。

まるでイオンがここへ来る事がわかっていたような言動。

そしてリオンとは面識がある様子…


色々と考えていると…




 『その通り、我は神の瞳を持っておる』


言葉にしていないのに帰ってきた言葉。
そして頭に響く声。
突然の事に驚き辺りを見回すと、口の端を釣り上げ微笑むセルビアと目が合った。




< 55 / 324 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop