魅惑のヴァンパイア
――まさかね。


ピーターから聞いた話を思い出して、頭を振った。


ヴラドが踊れば、皆がため息をつく。


ヴラドの一挙手一投足が、人目を集める。



こうして見ると、やっぱりヴラドはかっこいいなぁと思う。


ドキドキ、する。


毎晩一緒にいるのに。


ねぇヴラド、苦しいよ? 


私、どんどん好きになっている……。


「帰ろう」


突然耳元でボソっと囁かれた。


「え!?」



驚いて顔を見上げると、「抱きたくなった」と言われた。



だ、抱きたくなった!? 


思わず顔が真っ赤になる。


「で、でも……」


「早くしないと、ここでお前をメチャクチャにしてしまいそうだ」


なっっ!? 


声にならない叫びをあげた。



口がパクパクして閉まらない。



腰に回していた手が、下に降りてきた。
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