魅惑のヴァンパイア
ついに垂れ幕の前まで来てしまった。


垂れ幕からは、零れんばかりの光が溢れ出し、警告のサイレンが頭の中で鳴り響いていた。


この中に入ったらダメ! 


抵抗するんだ! 


そうだ、泣き叫ぼう! 


そしたらきっと、お父さんとお母さんが助けに来てくれる!


ドンっ!


肉球のある手で、背中を押された。


突然だったので、私はよろめきながら垂れ幕の向こう側へ、あっさり入ってしまった。


二、三歩よろめいて、ペタンと床に座り込んだ。


一瞬、何が起こったのか分からなかった。


冷たい床の感触に、背筋がひんやりと凍った。


次の瞬間、まばゆい光が、私一点に注がれた。


「うっまぶし……」


瞳が暗闇に慣れてしまっていたせいで、突然の明るい光は、目の前の世界を真っ白に変貌させた。


私……今、どこにいるの? 


これから、何が起きるの?


不気味な程の静寂が辺りを包み込んで、私の不安は一層膨れ上がった。

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