魅惑のヴァンパイア
なんで感覚があるの? 


夢じゃないの?


泣き叫んで抵抗したところで、熊男には勝てそうもなかったので、手を引かれるがまま歩いていった。


半分魚だった女の人が入っていった垂れ幕からは、うっすら光が見えていた。


どんなにポジティブに考えようとしても、その光が希望の光には見えなかった。


 私は小学校の時一度だけ、校長室に呼ばれたことを思い出した。


教室で友達がドッチボールの球を投げて遊んでいて、たまたま私の所にボールが転がってきて、そのボールを投げ返したら、運悪く蛍光灯に当たってしまい、割れたガラスが友達の頭に降ってきた。


幸い友達に怪我はなかったが、担任の先生に連れられて、校長室に連れて行かれた時の、言いようのない恐怖感。


結局、校長室で大泣きした私は、校長先生に怒られるどころか慰められて終わったのだけれど。


 でも、今回は泣いて終わるとは思えない。


何が起こるか分からないことほど怖いものはない。


絶望的な恐ろしさが身を包む。


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