魅惑のヴァンパイア
「ヴラド様、わたくしと踊ってはいただけないでしょうか?」


爽やかな青色のドレスを身に纏った女が、頬を赤らめて近寄ってきた。


「今日は気が進まぬ」


 目も合わせずに言うと、女は悲しげな表情をして去っていった。


華やかな会場。


軽やかな音楽。


楽しげに踊り、朝日が昇るまで酔い潰れ、傍目には貴族達は遊んで暮らしているだけだと思うだろう。


しかし、この華やかな社交場こそが、黒い策略渦巻く、高度な政治の影舞台なのだ。


 綺麗な女ヴァンパイアを数人従え、でっぷりと太ったお腹を抱えて会場に入ってきた男がいた。


 ――来た。


 ここ数日毎日舞踊会に通い、この男が来るのを待っていた。


立ち上がり、自ら挨拶に向かった。


話しかける前に、男はヴラドに気が付いた。


ヴラドは歩くだけで人目を引き付けてしまう。


男はニヤリと笑って、女の肩や腰に回していた手を、ヴラドに向けた。
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