魅惑のヴァンパイア
「やぁ、初めまして。ヴラド伯爵。お噂はかねがね聞いておりますぞ」


 ヴラドは差し出された手を取り、社交的な笑みを見せた。


「恐縮です。ですが、よくお分かりになりましたね」


「いやいや、こんな美青年は二人といまい。一発で分かったよ」


 握手をし、偽りの笑みをうかべた。


「ロード伯爵にそのようなお言葉を貰い、大変恐縮です」


 簡易的な挨拶と、二言三言当たり障りのない話をし、いつもの席に戻った。


さぁ、これからどう調理しようか。


「ヴラド、今回の獲物はあいつ?」


 様々な謀を考えていると、妖艶な美声と、甘い匂いが鼻をかすめた。


大きくスリットが入った黒のドレス。


膨らんだ谷間と、真っ赤な唇が見るものを引き付ける。


「エリザベスか……なぜ分かった?」


「あなたから挨拶に行くなんて、何かあるとしか思えないわ」


 ふっ何でもお見通しか。
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