魅惑のヴァンパイア
 小男が会場に向かって喋ると、真っ暗だった会場にもライトが照らされた。


「1000ダラス!」


観衆の中から手を挙げて叫ぶ声が聞こえた。


「出ました! 最初から1000ダラス! これは凄い金額になりそうだぁーー!」


小男は、両手でマイクを握りしめ、全身を使って声を絞り出すように、背中を仰け反って叫んだ。


「2000ダラス!」


「5000!」


「8000だ!」


どれくらいの金額なのかは分からなかったけれど、数字だけはどんどん大きくなっていった。


小男は興奮した表情で観衆を見つめている。


大きな先の尖った耳がピクピクと動いていた。


私は、放心状態で会場を見つめていた。


会場にライトが照らされ、景色が見えるようになっていた。


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