魅惑のヴァンパイア
「ヴラド伯爵!」


 バンっという大きな音と共に侍従が書斎に入ってきた。


いつもなら、許可もしていないのに勝手に入ってきたら有無を言わさず殺すか追放するところだった。


しかし真っ青になって息が上がっている様子を見て、ただ事ではないと悟った。


「どうした」


 今にも泣き出しそうな侍従を見据えた。


「王が……王が……殺されました!」


 時間が一瞬、止まったような気がした。


「なん…だと……?」


 魔界を根底から揺るがす大事件。


王を守ることが最大の任務だったはずなのに……。


体中から血の気が引いていくのが分かった。


目の前が、真っ暗になった。

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