魅惑のヴァンパイア
 豪腕冷徹と云われた王だったが、ヴラドにはとても優しかった。


王妃からヴラドを庇い遠く離れた地で、安全に暮らせるように手配をしてくれたのは王だと聞いていた。


 王宮から離れてからは連絡も全く取れなくなってしまったが、幼いころの思い出があるから、自ら率先して王の身を守る影の組織に属していたのである。


 生きる目的を見失ったような空虚感を感じ、諦めて帰ろうとした時だった。


「我らのプリンス。これからは、我らの王となるのですね」


テイル大臣の声とは違い、若い男の声がした。

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