魅惑のヴァンパイア
冷たい風の匂いがした。


まさかと思って、窓の外を見てみたけれど、暗い夜風が吹いているだけだった。


「~~~~~!!」


「~~~~」


 下から会話する声が聞こえて、慌てて寝室を出た。


階段下を覗き込むと声がはっきり聞こえた。


「なぜ黙っていた!? お前は俺の執事だろう!?」


「申し訳ありません!」


 ――ヴラド!? 


どうしてこんなに怒っているの?


「シャオンが妊娠しているというのは本当なんだな!?」


 その言葉を聞いた途端、走るなと言われていたことも忘れ、階段を駆け降りた。
< 207 / 431 >

この作品をシェア

pagetop