魅惑のヴァンパイア
「即位した途端に俺が不在とあっては、宮廷内は混乱するだろう」


「王に変身させた者を遣わします」


「お前が変身しないのか?」


「あの状態は力が全く使えず、大変危険な状態なのです。それに、私は影で動き回っていた方が性分に合っています」


 ラシードは照れ臭そうに笑った。


 ――この者達に任せておけば安心だな。


例え俺が死んだとしても……。


ヴラドは王になるために、秘密結社と力を合わせて戦う内に、彼らがいかに誠実で、正義感を持った者達なのかを知った。


王宮内で、権力に貪り、己の出世と欲しか考えていない幹部達より、よっぽどこの国を憂い、考えているかがよく分かった。


シャオンを助けたいという気持ちはもちろんあるが、彼らの志に共鳴し、共に差別のない国を作っていきたいと思うようにもなった。
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