魅惑のヴァンパイア
「それではヴラド様、王冠にはめ込まれたルビーは取ってきていただけたでしょうか?」


「ああ、この石だろ?」


 ヴラドが懐から取り出し、手の平をあけると、零れんばかりの光を輝かせる、ピンポン玉ほどの大きさの宝石があった。


紅緋色の宝石は、暗い寝室の中で、圧倒的な存在感を示していた。


ゴクリとラシードとルースカの咽が鳴った。


「俺の身体は動かずとも、俺の魂だけが行動するというのは、不思議なものだな」


 ヴラドはルビーを見つめ、感慨深げに呟いた。


「ヴラド様の肉体は、我々が責任を持って預からせていただきます」


「それと、シャオンのことだが」


「はい、時期が来たら責任持ってお守り致します」


ヴラドが頷くと、ラシードとルースカはより一層気を引き締めた。


「それでは、ヴラド様……」


「ああ」


 ヴラドはルビーの宝石を見つめた。
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