魅惑のヴァンパイア
「必ずやお帰りを……」


 ラシードとルースカが頭を下げた。


ヴラドは固く瞳を閉じてから、意を決したように、宝石を口に放り込み、そのまま一気にゴクンと呑み込んだ。


ヴラドの身体はそのまま力なく倒れ、ラシードの腕の中に落ちた。


「ヴラド様っ!?」


 ルースカが心配そうにヴラドの顔を覗きこんだ。


血の気のない青ざめた顔色だったが、まるで寝ているかのようでもあった。


ラシードはゆっくりと寝台に寝かせると、ヴラドの腕を取り脈を調べた。


「……大丈夫だ。生きている。この心臓の動きが私達の希望だ」


 ヴラドに両手を組ませ、仰向けに寝かせた


「偉大なる我らが王よ。死の呪いを解き、再び目覚めることを……」


 ラシードとルースカは片膝を付き、敬礼するように深々と頭を下げた。
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