魅惑のヴァンパイア
「ゲン婆さん、またそんな所に登って」


 女の一人が呆れたように呟く。


ゲン婆さんは、ひょいっとジャンプするように木の上から飛び降りると、ほんの数秒でシャオンの隣に立った。


「どれどれ」と、棒きれのような皺だらけの手を出し、シャオンのお腹を触った。


「うむ。元気元気。問題ないぞ。今の時期からは、筋力をつけるたけにも適度な運動が肝心じゃ」


 ゲン婆さんの言葉に、シャオンはパアっと顔が明るくなった。


「ほら! 魔界一の産婆もこう言ってることだし、手伝わせてください!」


 女たちはやれやれとため息をついて、顔を見合わせた。
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