魅惑のヴァンパイア
「分かりました。でも、重い物を持ったり、無理はダメですからね」


「はいっ! ありがとうございます!」


 シャオンは喜びを顔いっぱいに表した。


 数刻前の、暗く淀んだ顔とは雲泥の差だった。


人が変わったのかと思うくらいだ。


 シャオンの内側からは、自信と強さが溢れ出し、零れんばかりの笑顔は、自然と周りも明るくする。


 これが本来の彼女の姿なのだろう。


自然と笑顔に引き寄せられ、シャオンを見ているだけで、口元が綻ぶ。


 川で何があったのかは分からないが、シャオンの中で何かが変わったのが見てとれた。


気分転換になったのかもしれない。


 ねねのお母さんは、今夜はねねにご馳走をふるまってあげようと、ひっそりと心の中で笑った。

< 331 / 431 >

この作品をシェア

pagetop