魅惑のヴァンパイア
胸が高鳴ってきた。


ヴラド。待ってて。


私がヴラドを助けに行くから。


瞼を閉じて、胸の奥に意識を集中させた。


《……シャオン》


聴こえる。ヴラドの声が。


目を開き、闇を見つめた。


ヴラドはきっと、あの方向にいる。


自分が感じる方角が、東西南北、どこの方角を指しているのかは分からないけれど、強く魅かれる方向があった。


そしてその方向は、酷く嫌な気配のする方向だった。


ねっとりとした不気味な空気に包まれている。


闇は闇でも、ドロ沼のような闇だ。


それでも、もう迷いはなかった。


ヴラドがそこにいるのなら、私は行く。


どこへだって行く。


不気味な闇に向かって歩き出した。

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