魅惑のヴァンパイア
 私の名前は神無月 真央(かんなづき まお)。


十六歳だ。


目が覚めるまでは、どこにでもいる普通の女子高生だった。


いや、それはちょっと自分をいい様に紹介しすぎた。


私はクラスの中でも、目立たない部類にカテゴリーされている。


口下手で、内気で、上がり症だ。


仲良くなると少しお喋りになるけれど、面白い話はできない。


私は本が大好きで、特に童話とかファンタジーとか、そういう夢のある世界が大好きなのだけど、皆は興味がないらしい。


皆が今一番興味のあることは恋愛で、誰と誰が付きあってるだとか、誰がかっこいいだとか、そういう話で盛り上がるから、いつも私は会話においてかれる。


男の人とか、オシャレとか、正直よく分からない。


付き合ったり、手を繋いだり、キ、キ、キスをしたりなんて、そんなこと遠い世界のことすぎて、想像すらできない。


というか、私なんかがそんなこと想像するなんて、おこがましいというか、自意識過剰というか。


とにかく、そういう華やかなものは、私には別世界のものなのだ。


そんな私が、牢獄に入れられるような、とんでもない大きなことをするはずもなく……。





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