魅惑のヴァンパイア
確か私は、お父さんとお母さんと三人で旅行に行くために飛行機に乗っていたはずだった。
私のお父さんは、貿易の商社マンなので、出張が多く家にいることは少ない。
お母さんは、裁縫と料理が好きな、私と同じでおっとりとした専業主婦だ。
お父さんの仕事が閑散期に入ったらしいので、久しぶりに家族で旅行に行こうという話になった。
私とお母さんは英語が苦手なのでハワイとかグアムとか、日本語がある程度通じる国にしようって言ったのだけれど、お父さんが、俺がいるから大丈夫だっていうから、ヨーロッパに行くことにしたのだ。
お父さんは一見、細長い体躯に眼鏡をかけていることから、頼りなさそうに見えるけれど、中身は結構男らしいのだ。