魅惑のヴァンパイア
こんなわけが分からない世界で。


たった一人で。


現実だって認めたくないけれど、この胸の痛みは本物だった。


嘘だと思いたい。


嘘なんだと信じたい。


けれど、新聞を読めば読むほど、混乱してくる。


あまりにもリアルすぎて。


認めたくないけれど、涙が出てくる。


新聞の文字が涙の雫で歪み、汚れていく。


それに、仮に嘘だったとしても。


お父さんとお母さんが、私の側にいないことに変わりはない。


私は一人だ。


魔界という世界で、たった一人だ。


そう思ったら、頭が真っ白になってフラフラしてきた。


泣きすぎたせいもあるかもしれない。


よろめきながらベッドに倒れるように横になった。


帰れない。


出られない。


私の頭を支配しているのは、絶望の二文字だけだった。

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