魅惑のヴァンパイア
でも不思議と、嫌ではなかった。


恐くもなかった。


よく分かっていなかったからかもしれない。


でも、私だってもう十六歳。


昨日の行為が、どういうことなのかくらい分かる。


想像とは、ちょっと違っていたけれど。


漫画でだって、読んだことがある。


顔を真っ赤にしながら読んでいたことが、まさか自分の身に起きるなんて想像すらしていなかった。


もっと、もっと、それは、遠い未来のことで。


クラスメイトが、もう経験しているということを、小耳に挟んだこともあるけれど、それは、クラスでも目立たない部類にいる私には、縁のない遠い世界の話で……。


まさか私が。


まさか私がこんなことになるなんて。



いまだに実感がない。


でも、この痛みも、記憶も、全て現実で……。


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