宇宙ネコ
三角博士はボクを映写室に案内した。
映写室にはたくさんの椅子が列になって並んでいた。

「用意するから適当に座ってね」

言われるままにボクは近くの椅子に腰掛けた。
三角博士は暗幕を閉じ、映写機に何かのフィルムをセットして始動させると照明を落とした。

映写機はカタカタと音を上げ、やがて映像を映しはじめると三角博士もボクの隣に座った。

「これが今回の関係者一同だよ」

その映像には実験に携わったらしき人達が並んでいて、三角博士はその中央に立っていた。
場面が変わり、三角博士が工場内部の説明をする映像になった。

音声がない代わりに、フィルムの下には文字が表示されている。
説明の意味はよくわからないけど、凄い実験なのは雰囲気と規模で何となくわかった。
実験は、電子ブレインと呼ばれる機械を1080台使ってサポートすると言う。

電子ブレインって聞いたことない名前だな。

三角博士の話によると、電子ブレインは電子計算機の様なもので、その1つだけでも軍などが使う大型の電子計算機よりもはるかに高性能らしい。
1080台の電子ブレインは中央のコントローラに接続されていて、実験を先読みで予測して問題がない様に常に補正していくのだそうだ。

長い説明が一通り終わり、ようやく実験が開始された。

カメラの映像も中央の大穴の内部に入って行った。
この大穴の深さはなんと100メートル以上あり、内部へはエレベータを使って降りる。
やがてカメラの映像は最深部に到着した。

最深部はドームの様にになっていて、その広さは地上部分と同じくらいある様だ。

操作板の巨大なレバーやスイッチ類が操作されると、ランプが点滅を開始した。
1回の点滅はトンネル内部の物質が1回転した印なのだそうだ。
そのうちランプが点灯しっぱなしになり、今度は大きなメーターの針が動きだした。
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