無愛な恋人
「か、一葉さん?」

「翔だけ呼び捨てなんて、ずるいよ〜〜」


えぇ?!
なにそれ……。




「俺もあだ名、欲しい!」


……あんたは子供か。

うーん。
でも、可愛いなぁ一葉さん。


わたしは甘えん坊好きなのかもなぁ…。←おい。




「しょうがないお兄さんですねぇ、イチたんは〜」

「イチたんっ?」

「一葉さん改め、イチさんってことで!」


『一葉』の『一』からとって、イチさん。

これでいいんじゃないかな。



本人が、目ぇ輝かせて笑ってるし。





「可愛いですねぇ、イチさんって〜〜!」

「へへへぇ〜」


なでなで。
イチさんの頭を撫でまくるわたし……。


茶色の髪は、見た目以上に柔らかくて。

いい香りがする。




「ふふふ〜〜、……ッ?!」

「なぁにしてんだ、お前らは!」


…ッいったあい!!

この頭の痛みは、多分拳ができてる翔の左手のせい。




「あ〜、恋人殴った〜〜!」

「恋人じゃねえし。ま、左手じゃ力加減できねぇよな〜?」


『だれかさんのせいで』と翔。





……わたしですよね。





「ほら、早速仕事だ。マコ」

「あ……、はい」


だめだ。
翔にマコって呼ばれるの、イチさん以上にやだな。

なんでたろ。



……なんで、緊張?
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