猫マンションとねずみの塔
「なんだ。まだ帰ってなかったのか」

 店のおじさんは僕に気付いたのか、煙草に火を付けながら、ちらっとこちらを見た。

「うん。変わった子たちが居て……」

 そう言いながら、さっき三人組がいた辺りに視線を投げ掛けると、影も形も無くなっていた。

「あれ……」

「ん? どうした。お前、酒に口つけたんじゃないだろうな。夢見てたんじゃないのか」

 そう言って、おじさんは軽く笑いながら、僕の髪の毛をくしゃくしゃ掻いた。

「うわぁ、なにするんだよー」

 僕は言いながら、お酒を持っていない手で必死に髪の毛を直した。

「一人前に髪の毛、気にしてるのか? さて、おじさんは仕事に戻るかな」

 おじさんは笑いながら、僕の頭を軽く叩くとお店の中に戻っていってしまった。
 僕はおじさんがお店の中に戻っていくのを見届けた後、三人組が居た辺りにかけていった。
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