猫マンションとねずみの塔
「猫マンション? 配給がミルクと秋刀魚だなんて本当に猫みたいじゃないか」

 僕は呟いた。
 資格が要相談って、どういうことなんだろう。随分厳しいのだろうか。
 僕は不思議に思いながらも、猫マンションの入居募集要項を夢中で読み進めていた。

 その中の一文に僕は目を奪われた。


──幽霊でお困りの方も大募集。


 僕はどきっとした。
 ゆうれい。
 正にそれはいま自分が直面している大問題だったからだ。

 満月の晩、金雀枝のほうきを持参の上、お集まりください。マンションまでお連れします。

猫マンション管理担当。


 それで一切続きは無く、不思議な文章は締めくくられていた。僕が読み終えて一息つくと、文字がゆっくり揺れ出した。そして紅茶の中の砂糖みたいに混じって、白い文字は水溜まりの中に溶けていった。
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