戦場駆け征く
剣を抜いて走り出した。
こちらに気付かないまま同士討ちをする兵士を斬った。血が吹き出した。虚ろな目が、ゆっくりと漣犀を捉える。口が微かに動くのが分かったが、そんなものを読み取ってやる時間も精神的な余裕も無かった。
だが、この目は見覚えが有る。そう、貧民の、死を目前にした最期の顔だ。あの場所では完全な『弱肉強食』が有る。それはまさしく生存闘争であり、戦争だった。
続いて襲い来る男を切り捨てる。死にたくはない。弱者にはなりたくない。必ず生きて帰らなければいけない。
この兵士達一人一人が、漣犀と春鈴のしたような約束や誓約を交わしているのかもしれない。妻子に『必ず帰る』と誓った父親も居れば、『死にたくない』と逃亡する農民も居るかもしれない。
そんな者達全てを巻き込んで、ささやかな幸せを嘲笑うかのように、天下だ、覇道だ、と憑かれたように言っているのは誰だ。
あの、王座に座る――――。
こちらに気付かないまま同士討ちをする兵士を斬った。血が吹き出した。虚ろな目が、ゆっくりと漣犀を捉える。口が微かに動くのが分かったが、そんなものを読み取ってやる時間も精神的な余裕も無かった。
だが、この目は見覚えが有る。そう、貧民の、死を目前にした最期の顔だ。あの場所では完全な『弱肉強食』が有る。それはまさしく生存闘争であり、戦争だった。
続いて襲い来る男を切り捨てる。死にたくはない。弱者にはなりたくない。必ず生きて帰らなければいけない。
この兵士達一人一人が、漣犀と春鈴のしたような約束や誓約を交わしているのかもしれない。妻子に『必ず帰る』と誓った父親も居れば、『死にたくない』と逃亡する農民も居るかもしれない。
そんな者達全てを巻き込んで、ささやかな幸せを嘲笑うかのように、天下だ、覇道だ、と憑かれたように言っているのは誰だ。
あの、王座に座る――――。