戦場駆け征く
「…佳はあくまで、玲に付くと言うか!」
書状を書き終え、玲瑛が高く笑った。
齢二十二とは思えぬ。老獪な勝者の笑い声であった。
「それは全て狂言で、全て玲を陥れる罠だ―等とは言わぬな、孫凱殿」
王座から立ち上がり、孫凱の顎を剣で押し上げながら問う。
仮にも異国の王子である孫凱への振舞とは思えぬが、何れも動じる事はなかった。
「…これが狂言だというのなら、全ての辻褄が合うのだが」
漣犀は、その瞬間に悟った。以前、玲瑛に感じた『冷たさ』の正体。
それは底冷えのする程の孤独と猜疑心、そしてその奥に眠った抑えようもない紅い狂気だった。
…何処か、春鈴と似ていた。
しかし何故だろう。ぞくり、と漣犀の体を悪寒が走った。
書状を書き終え、玲瑛が高く笑った。
齢二十二とは思えぬ。老獪な勝者の笑い声であった。
「それは全て狂言で、全て玲を陥れる罠だ―等とは言わぬな、孫凱殿」
王座から立ち上がり、孫凱の顎を剣で押し上げながら問う。
仮にも異国の王子である孫凱への振舞とは思えぬが、何れも動じる事はなかった。
「…これが狂言だというのなら、全ての辻褄が合うのだが」
漣犀は、その瞬間に悟った。以前、玲瑛に感じた『冷たさ』の正体。
それは底冷えのする程の孤独と猜疑心、そしてその奥に眠った抑えようもない紅い狂気だった。
…何処か、春鈴と似ていた。
しかし何故だろう。ぞくり、と漣犀の体を悪寒が走った。