都会の魔女
「悪いですけど
俺 こんな小さな店で終わる気 無いっすから。

どうせここでいくら頑張ったって、高が知れてるでしょ。」

ここまで言われると恵介は、それ以上言い返すことができなくなり、話し合いは決裂に終わった。

その後も恵介は、事あるごとに直人に留まるよう頼んだが
直人の気持が変わる事はなかった。


そうして1カ月後
直人が店を去る日が来た。

退職金と共に、恵介が買い与えたドイツ製の高級カットシザーなど、道具一式を自分のカバンに詰めると

「お世話になりましたー。」

の挨拶一つで、店を出て行ってしまった。


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