都会の魔女
授業が終わり、りさ子は落ち込みながら家に帰ってきた。

幸子のいるリビングを素通りして2階に上がろうとすると
さっそく母の小言が始まった。

「りさ子、帰って来たなら
“ただいま”
くらい言ったら?

あなたいつまでムスくれてるの?

今朝だって
“おはよう”も“行ってきます”も言わないで学校に行っちゃったじゃない。

だいたい昨日連れてきた子みたいな人たちと付き合ってるから、挨拶もろくにできなくなっちゃうのよ。」

りさ子は我慢の限界だった。

持っていたカバンを床に叩きつけると、ものすごい剣幕で母に言い返した。
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