初恋タイムスリップ【完】
時間が止まったように感じた。
目の前にいる成海くん。
街灯が眩しくて、成海くんの顔が逆光でよく見えない…
これは夢?
現実?
成海くんが私を
私なんかを好きに
うそ・・・
なんで?
どこが?
聞きたいのに聞けない。
いつもそうだ
こんな自分嫌だ
私も好きって言いたい。
ずっと見てたって言いたい。
言うんだ、頑張れ私…!
「な、成海くん!
あ、わ、私…
す
す、き…
成海くんが…好き…」
私は今、きっと今までの人生の中で一番赤面をしている。
成海くんのマフラーの中に鼻まで隠れるほど顔を埋めた。
「好き?」
成海くんは私をのぞきこんで言った。
「うん」
「俺の事?」
「うん」
成海くんは優しく微笑んだ。
「じゃあ…彼女になる?」
「うん」
うん、しか言えない自分が情けないのと、気持ちが通じ合ったうれしさと…
自然と涙がボロボロ落ちてきて涙がマフラーの上を転がった。
「じゃあ、付き合おうな。美音」
成海くんは優しくそっと私の頬を撫で涙を拭ってくれた。