愛した分だけ返ってくる

メルとイルカとそれからお金

あるところに、メルという色黒の女の子がいました。

メルはイルカが大好き

メルは小さい時からイルカが大好きでした。イルカと会話したい。イルカと一緒に泳ぎたい。生まれ変わったらイルカになりたい。

そのぐらいイルカが好きでした

あまりにメルがイルカ好きなので、メルのお母さんはイルカの絵をかく画家の展覧会に連れて行きました。

メルは大喜び

お母さんから離れて1人会場を回ります。

そして、ふと気がつきました。

一枚一枚値段と名前のテープが貼ってあります。

メルは気になった絵の前にいました。その絵があまりに魅力的で、メルは目をキラキラさせて立ち止まったままでした。

その絵にもテープは貼ってあります。

やがて、お母さんが来ました。

メルはお母さんに聞いてみました。

「どうして名前が書いてあるの?」

メルはテープを指差して聞きました。

お母さんがいいました。

「その人達は、お金を払ってこの絵を買うの」

「買うの?」

メルが繰り返し答えます。

すると、

「ほらっ見てごらん?メル、あの人たちも絵を買うのよ?」

そういってお母さんは離れた場所でスーツを着た男性とニコニコと会話する夫婦を見て言いました。

メルは良くわからず黙って夫婦を見つめていました。

「お母さん、この絵高いの?」

お母さんは目を丸くして息を詰まらせながらいいました。

「冗談でしょメルっ!?」

そう言うとお母さんは会場の出口に向かいました。

メルは思いました。

お金がないと欲しい物は買えない。

でも、その時のメルはそこまでこの絵が欲しかった訳ではありませんが、目に焼き付けて忘れないでおこうと、その気にいった絵の前からなかなか動きませんでした。

時間を忘れて絵を眺めていると

お母さんが重い足取りで迎えに来ました。優しい声で

「メル、お父さんをあんまり待たせるとダメだから帰りましょう」

メルは言いました。

「はい」

メルの家では両親の言うことは絶対でした。

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