愛した分だけ返ってくる

★それは人形劇のように



「好きだ」

たったこの一言が言えないんだ





「涼ちゃん…明日晴れるかなぁ?」

コホコホ空咳をしながら君が言う

「美鈴、寝ろよ」

「涼ちゃん…胸苦しいよっ」

涙目になりながら美鈴が俺を見つめる

「…薬、飲んだから…もぅ少し待って」

「…っ」

また美鈴が咳き込んだ

胸がいたくなるような咳き…

見ていて辛い

「涼ちゃん、お水取って」

俺は無言でベッドの隣の小さな棚に上がっていた水差しに手を伸ばした

「はい…美鈴…」

「涼ちゃん、ストローつけて…」

忘れてた…

美鈴は呼吸器の病気

酷いと息が出来なくなって暴れるらしい

俺はまだそんな美鈴は見たことがない

ふとそんなことを思いながら美鈴にストローがついたコップを渡す

触れた指先が熱い

「涼ちゃん…無理しないで?」

美鈴は自分の方が辛いくせに哀れそうな顔で俺を見て言った

「してねーよ」

そっけなく俺が言ったせいか、美鈴が下を向いた

「美鈴?」

「涼ちゃん…いつもありがとう」

美鈴の頬に光るものが伝った

「…泣いてるの?」

「…苦しくて…心臓が…痛くて…」

涙声で美鈴が言う

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