ドーンッッッ!!
彼女が、俺を選んだ。
自身の近くに居たアイユでもなく、男と同じ種族の空澄でもなく
僅かばかり時を共にしただけの 俺を。
……もしかしたら、たまたま目に着いたのが俺だからなのかもしれない。
でも、それでも。
他の誰でも無く、ルナを愛している俺を選んだ事が 最高に嬉しかった。
たまたまだろうがなんだろうが、今彼女が頼っているのは俺だ。
俺がなんとかしてやらなくちゃ。
決意したのは良いのだが、
その結論に至るまで、一瞬という時間だけでは足りなかったようで。
「…動かないよ、この子」
我に返ったのは、ツンツンと俺の頬に指を突き立てられてる場面で だった…。
「アレッ!!?いつの間にこの人、こんなに俺に近づいてんの!?
まさか、記憶の欠落!?タイムスリップ!?一人浦島太郎気分!!?」
叫んだ後で後悔した。何を俺は言っているんだ?
ああ、皆。可哀想な子を見る目で俺を見るなよ…!!
憐れみ満載の視線の中、ただ一人、光夜さんだけはうんうんと頷いている。
「……アホの子みたいだね。まあいい。
兎に角、
愛というものは、良くも悪くも人を変える。
彼がこんな風になるのも、愛を知っているからだ。
そこで、だ。
先程も言った様に、提案がある。
キミが囮になりたまえ」