木霊の四辻
「どこ行くんだよ?」

「生徒寮」

「なんで?」

「相田さん、寮に住んでるんでしょ?」

「……なんで、そう思う?」

白々しい燈哉には、歩きながら、背中での返事で充分である。

「アンタ、私が学園に行くの、止めなかったでしょ。あてもなく捜査を始めようって私が、なにか間違ってたら? アンタは確実に茶々を入れる」

自分がリアリストなら、燈哉もリアリストだ。

種類は違うが、現実的に考えてより効率のよいもの、より効率のよい手順を燈哉は好む。

「そのアンタが、私が学園へ行くのを素直についてきた。学園に手がかりがあるのは、その時点でわかりきってるのよ」

「へーへ。よくお見通しで」

燈哉がゆいを追い抜く。

「だが考えが甘いな。学園にある手がかりはそれだけじゃねぇよ」

そして振り返り、得意気に「ちっちっ」と人差し指が振られた。

「つい最近まで、木霊の呪いを食らってたヤツも、この学園内にいる。行くならそっちだろ」





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