Call My Name
第四章 叶わない恋心
朝、目が覚めると知らない女が隣にいる

そういう光景を最近、よく見る

今日もまた、名前も知らない女がベッドに横たわっていた

俺は身体を起こすと、金色の前髪を掻きあげた

ああ、またやっちまった

壁にかかってる鏡に目をやると、首筋や鎖骨にある赤い斑点を見て、ため息をついた

痛ぇと思ったら、やっぱつけられたか

好きじゃねえんだよな、キスマークを残されるのって

なんか…所有物にされた気がして、癪にさわる

別に、俺はあんたのモノじゃねえしって気になるんだよ

また今日も、家に帰れなかった

親父は喜ぶけど、兄貴があまり良い顔をしねえんだよな

学校に行くのが憂鬱だな

兄貴に会うのが、ちょっと怖い

怒ったり、機嫌を損ねたりしないけど、目で訴えてくるんだよな

俺がこんな生活を送るのは、自分が跡目を継がなかったせいだって顔をするんだ

辛そうな表情になる兄貴を見るのが、俺はつらい

俺は制服に袖を通すと、寝ている女の枕もとに金を置いて、さっさとホテルを後にした

女の話を聞いているうちに、すっかり俺もベッドて眠っていた

今日こそは家に帰ろう…って心に決めて、女とホテルに入ったのに大失敗だ

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