Call My Name
人が変わるきっかけって、些細な原因でも気持ちの問題で、変われるんだと思う

少しずつ絵具をまぜていくみたいに、変わっていくときと…風船が突然割れるみたいに、バンっと気持ちの変化が起こるときもある

今夜の俺は、まるで風船みたいにバンっと何かが弾けた

知らなかったな

誰かを守るために奮う暴力ってのは、すげえパワーが出るもんなんだな

ただ強くなるために、ふっかける喧嘩とはわけが違う

身体の芯から湧きあがる力が、桁違いだった

ただの嫉妬心だったとしても、俺が親父に言われてやってきた喧嘩とは違った

全然、感覚が違った

俺にはもう……無意味な喧嘩はできそうにないよ

親父の跡継ぎは俺しかいないのに、ヤバいな…俺

マジでヤバい

「景? 寝ちゃったのかな?」

兄貴の声が遠くに聞こえた

「最近の景は必死、頑張ってたからね。少しは休んだほうがいいんだよ。ゆっくりお休み、景」

ああ、休むよ

おやすみ…兄貴

俺は兄貴の大好きなラジオを遠くに感じながら、眠りに落ちた


< 41 / 149 >

この作品をシェア

pagetop