Call My Name
俺は自分の部屋の障子を開けた

俺以外の人間が、すでに部屋で待機しているのに驚いてぎょっとした

何?

俺は畳に正座しているスイレンに目を丸くした

「あ、えっと」

スイレンが慌てて立ち上がる、短い髪を耳にかけた

「立宮先生が…じきに来るからって」

スイレンが、ぼそぼそと小さい声で俺に説明してくれた

兄貴か…気を回し過ぎなんだよ

俺はスイレンに微笑むと、「座れよ」と声をかけた

「怪我、平気?」

スイレンが心配そうな顔をして、首を横に倒した

「ああ、痛いけどな。治療は終わってるし、あとは骨がくっつくのを待つだけだ」

俺の言葉に、スイレンがほっと肩を撫でおろしていた

「たくさん、血が出てたから…心配だったの」

「頭のキレたからな。出血は多くなる」

「うん」

スイレンが下を向くと、スカートをぎゅっと掴んだ

若干、スカートの丈が長くなったのは…気の所為か?

それとも俺が、『短い』って前に言ったから、気をつけているのか?

俺はスイレンの横を通り過ぎると、障子を開けて中庭を眺めた

「悪かったな」

「え?」

スイレンの顔がぱっとあがる音が背後でした

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