マジック・エンジェルほたる
青沢蛍は「彼女らしい」寝言をいいながら眠っている。この娘は、バカか?
悦にひたる蛍の横のベットの端で、身体を横にしていたセーラは呆れ顔で眉をピクピク動かしながら、
「この娘ってば…ほんとうに伝説の戦士なのかしら?」と呟いた。そして、もおっ、と頬杖をついてプイっと顔をよこに向けていた。
 まったくなんて娘なの!!

  次の朝。蛍たちの通う青山町学園の期末テストの日だ。ドジな蛍は、いつものように寝坊すると、大慌てで学校にむかって駆け出していった。
「あ、待ってよ!蛍ちゃん!」
 セーラは蛍の後を追ってフワッと飛んだ。
  テストはいたって難しかった。いや、蛍にとって由香にとっては、とてつもなく難しかった。彼女たちにとっては「ルート」とか「645年大化の改新」とかいうのは暗号のようにでも思えるのだろう。まぁ、はっきりいって「そうした知識」は社会では何の役にもたたないけど…。それでも、知らないより知っていたほうがマシではある。
「…よし、いくのよ、セーラ!」
 机に座って答案用紙に顔をむけていた蛍は真剣な表情で、顔の近くに浮いていたセーラに囁くように小声で命令した。
「……でも…ねぇ。」
「さっさと行くのよっ。私のテストの成績がかかっているんだから!!」
「…だって……さぁ…」
「あんた、私がテストでまた0点とかとってもいいっていうのっ?!」
 セーラは眉をひそめて、おそるおそる、
「…そんなに頭が悪い…の?」と尋ねた。
「…そういう見方もあるかしらねぇ。でも、それもチャーム・ポイントのひとつよ。ほら、女の子は少し馬鹿な方が可愛い、って男の人がよくいうじゃないの」
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