マジック・エンジェルほたる


「うーん。やっぱり、勉強のあとに飲むオレンジジュースって最高よねっ」
「いやいや。やっぱ、さぁ…コーラで決まりっしょ!」
  蛍と由香の二人は、喫茶店『ムーン・ライト』のテーブルに座って顔を見合わせて、くだらない話をしていた。ーちなみに、日本のオレンジ・ジユースのほとんどは輸入品の「カリフォルニア・オレンジ」だったり「コカコーラ」が優位にたっているのは日本国内だけでアメリカ本土では「ペプシ」のほうが人気があることなどは詳しくは書かない。知らなくていいことだからだ。
「やあ、蛍ちゃん、由香ちゃん」
 喫茶店『ムーン・ライト』でアルバイトをしている蛍たちの一年先輩の鈴木直樹が笑顔で声をかけてきた。この男の子は、けっこうハンサムだ。だが、いかんせん男の「ダンディズム」だとか黒人男性にありがちな「セクシーさ」だとかは微塵もみられない。何処にでもいるような普通の男の子。誰もが「優しそうだね」と感じてしまうような少年だ。
 彼は確かに不思議な印象を与える人物だった。年は螢たちと同じように見える。すらりと細い身体に、がっちりとした肩や首がクールな感じにみえる。ちょっと見には彼の制服はぴったりなのだが、唯一、瞳だけはきらきら光ってみえる。
 鈴木先輩…っ。蛍は鈴木直樹と、フト、目が合って、ポッと頬を赤くした。恥ずかしかった。じつは蛍は鈴木先輩のことが好きだった…いや憧れていたのだ。惚れていた…のだ。 ラブ・アット・ファースト・サイト(一目惚れ)。
 いやいや、ファースト・サイトではない!なぜなら以前から存在は知っていたのだから…。
 愛や恋とは、ある種、突発的なものであるのかもしれない。「恋愛のおまじない」に毒されると「理性」や「知性」があっても逃げることは出来ないのかも知れない。…愛には「エロス(愛欲)」「クピード(欲望)」そして「アガーペ(神の愛)」などがある。
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