マジック・エンジェルほたる
「そりゃあ由香ちゃんが、「お馬鹿さん」だからじゃないのかなぁ」
 蛍は堂々と熱意をこめて皮肉をいった。
「な、な、なんですって?!あんたねぇ!あんたみたいな本物の「お馬鹿さん」にそんなこといわれたくないわねぇっ」目を火のようにぎらつかせて、由香はいった。
「あんたはいつもいつも、ほとんど、毎日、テストで5点とか0点とかとってるじゃないのよぉ!そんな人に「お馬鹿さん」なんて言われたくないですよぉだ!この馬鹿蛍!」
 蛍はきっと由香を見た。「ち、ちょっとさぁ!それってば言い過ぎなんじゃないの?!」”憤慨して叫んだ。「由香ちゃんだってさぁっ、テストで6点とか1点とかばっかじゃんよぉっ!!ほとんど私と変わらないじゃんよ!!」
「じゃあねぇ」由香は切り返した。「じゃあ、一+一は?」
「…え?」蛍は少し考えてから、自信あり気に「そりゃあ決まってるっしょ?!もちろん漢字の”田”よ」
「はっ?」由香はそう声を出してから、馬鹿馬鹿しい、という顔でニヤリと笑って、
「そりゃあ、あんた。トンチじゃないのっ。金太郎じゃあるまいしさあっ」
「…違うよ。トンチで有名なのは…花咲か爺さんだよぉ」
「ええっ!そうだっけ?でも確か…牛若丸だったような気もするけどぉ…」
 ”出来そこない”のふたりは頭をひねった。冗談でいってるのではなく本当に知らないところは甚だ滑稽だ。(ちなみにトンチで有名なのはキッチョムさんだったり一休さんなどだ)
 フト、蛍と由香はじっと顔をのぞきこんだ。そして、何もかも忘れたかのようにほんわりとして、
「まぁ、いいか!そんなことどうだって!!」
 と声をそろえて笑いあっていた。


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