マジック・エンジェルほたる
「きゃああぁぁーっ!!」
 由香の激しい悲鳴を耳にした蛍は、ハッとして駆け出した。由香ちゃんが危ない!
 ダビデは「おとなしくしろ!」と、暴れる由香を押さえ込んで、左手を彼女の胸元にあてた。赤井由香の可憐な胸元から赤色の閃光が飛び放たれるていく。と、由香は、
「ううっ…」と小さくうなって気絶してしまった。だが、ダビデの期待していた通りにはならなかった。ダビデは怒りで声も震え、支離滅裂な言葉を発していた。
「くそっ。この娘は、トゥインクル・ストーンの持ち主ではない!」
 ダビデは顔をしかめて吐き捨てるようにいった。やがて由香の胸元から放たれていた閃光は輝きを失い、そしてフウッと音もなく消えた。次の瞬間、ダビデは、
「死んでしまえ!」と、ドスのきいた越えで叫ぶと由香の首根っこを締め始めた。このままでは赤井由香は死んでしまう!
「ゆ、由香ちゃん!!」
 やっと駆け付けた蛍はそう叫ぶと、頭から冷水をかけられたかのように驚愕して立ち尽くしてしまった。いったいどうしたらいいの?!あまりの恐ろしさで全身が小刻みに震えた。両脚がガタガタと鳴る。長くさらさらとした髪の毛が逆立つ。戦慄と恐怖で、体の力が抜けて、足はもつれる。「何やってるのっ?!蛍ちゃん、封印よ!封印するのよ!」
 いままで何処かに姿を消していた妖精セーラが猛スピードで飛んできて、慌てた口調で叫んだ。
「で、でも…」蛍は躊躇しながらも震える声で「…へ…封印ってどうするんだっけ…?!」「お札よ、魔物を封印せよ、よ!もってる赤いお札をかざして、いうの!叫ぶの!」
 セーラは熱意を込めて、祈るようにいった。もうやるしかないのよ!封印よ、蛍ちゃん! 蛍は大きく息を吐くと決心したように眉をキッとつりあげて、お札に手をかけた。そして、おもいっきり前にかざして、
「お札よ、魔物を封印せよ!」
 と、燐とした声で叫んだ。ー次の瞬間、カッ、と前にかざしていたお札から青色に輝く閃光が四方八方へと飛び散り、しだいに蛍の身体をつつみこんだ。
 そして、ついに、「封印」しようと光の塊が魔物に向かった。魔物はよけたが、あの蛍が、伝説の戦士マジック・エンジェルになったのだ。
 魔物を封印する、マジック・エンジェルに…。

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