マジック・エンジェルほたる
蛍は優しい表情のまま、そっと由香の額にあてていた水タオルをとりかえた。そして、「…由香ちゃんって生意気なところもいっぱいあるけど、こうして眠っている顔をじっとみると…なんか可愛らしい顔をしてるわねっ」
と、ほんわりと控え目な口調で微笑して呟いた。同じように顔を覗き込んでいたセーラも「ほんとよね」となぜか頷いていた。
不思議な現実と空間と時間の流れが、三人(もしくは二人と一種)を包み込んでいた。 しばらくすると、由香の睫が少し動いた。
「ううん…」由香はやがて、瞳をゆっくりゆっくりと開けて目を覚まし、上半身を起こした。だけど、なんとなく「アタタ…」と頭が少し痛くなって両手でコメカミを押さえた。 いけない!セーラ弾かれたように蛍の背中のうしろへ隠れようと大慌てで飛んだ。
「あっ、いいのよ。隠れなくても…」
由香がそんなふうに丁重な言葉で妖精に声をかけた。ーえ?なんで?!
「……あ、あのぉ。」
「蛍ちゃん、いるんでしょ?!お風呂冷めちゃうといけないから…早くはいっちゃいなさいね」
妖精のオドオドとした呟きをさえぎるように、部屋の外の廊下から、蛍の母親「雅子ママ」の透き通る声がきこえた。雅子ママこと、青沢雅子は現在、四十才ではあるがけして「ブヨブヨの醜いオバタリアン」ではない。その美貌たるや、いまは亡きオードリー・ヘプバーンを日本風にしたくらい素晴らしい。
細身で長身、長い睫に手足…。蛍はこの母親の血を受け継いだのかも知れない。
「あ、うん!わかったわ、雅子ママ」
蛍は廊下の雅子ママに元気にいった。ちなみに、雅子ママは「蛍のような」馬鹿ではない。青沢蛍の頭の悪さは後天的なものである。
「あ、いけない!」
由香は何かを思い出したらしく、そう大声で叫んだ。そして、ベットからバッと飛び起きて、
「じゃあ、蛍!私、急いでるから帰るね!!」といって駆け出した。
「あ、ちょっと、由香ちゃん!」
由香は、蛍の声を無視するように扉を開けて、フト、振り返ってウインクをして微笑んで「じゃあ、蛍。妖精さん。またね!」
と、駆け去ってしまった。
「妖精さん…だってさぁ」ふたりはそう呟くしかなかった。
と、ほんわりと控え目な口調で微笑して呟いた。同じように顔を覗き込んでいたセーラも「ほんとよね」となぜか頷いていた。
不思議な現実と空間と時間の流れが、三人(もしくは二人と一種)を包み込んでいた。 しばらくすると、由香の睫が少し動いた。
「ううん…」由香はやがて、瞳をゆっくりゆっくりと開けて目を覚まし、上半身を起こした。だけど、なんとなく「アタタ…」と頭が少し痛くなって両手でコメカミを押さえた。 いけない!セーラ弾かれたように蛍の背中のうしろへ隠れようと大慌てで飛んだ。
「あっ、いいのよ。隠れなくても…」
由香がそんなふうに丁重な言葉で妖精に声をかけた。ーえ?なんで?!
「……あ、あのぉ。」
「蛍ちゃん、いるんでしょ?!お風呂冷めちゃうといけないから…早くはいっちゃいなさいね」
妖精のオドオドとした呟きをさえぎるように、部屋の外の廊下から、蛍の母親「雅子ママ」の透き通る声がきこえた。雅子ママこと、青沢雅子は現在、四十才ではあるがけして「ブヨブヨの醜いオバタリアン」ではない。その美貌たるや、いまは亡きオードリー・ヘプバーンを日本風にしたくらい素晴らしい。
細身で長身、長い睫に手足…。蛍はこの母親の血を受け継いだのかも知れない。
「あ、うん!わかったわ、雅子ママ」
蛍は廊下の雅子ママに元気にいった。ちなみに、雅子ママは「蛍のような」馬鹿ではない。青沢蛍の頭の悪さは後天的なものである。
「あ、いけない!」
由香は何かを思い出したらしく、そう大声で叫んだ。そして、ベットからバッと飛び起きて、
「じゃあ、蛍!私、急いでるから帰るね!!」といって駆け出した。
「あ、ちょっと、由香ちゃん!」
由香は、蛍の声を無視するように扉を開けて、フト、振り返ってウインクをして微笑んで「じゃあ、蛍。妖精さん。またね!」
と、駆け去ってしまった。
「妖精さん…だってさぁ」ふたりはそう呟くしかなかった。