マジック・エンジェルほたる

「うう…ん」しばらくして、赤井由香はそう微かにうなってから、静かにゆっくりゆっくりと瞳を少しずつ開け始めた。
「ゆ、由香ちゃん! だいしょうぶ?!」
「…ほ、蛍…。あなたが…たすけてくれたの?」
 由香は魅力的な微笑みを浮かべて、しぼり出すような声を発した。そして「ありがとう」 と、優しい笑顔で覗き込んでいる親友にいった。
「ううん。いいのよ…へへへっ」
「あ。」フト、そんな風に嬉しさで涙を流している蛍の肩越しにいた妖精の姿を見付けて、由香は控え目な口調で、囁くように
「あなたは妖精?…蛍…の…お友達なの…?」
 と尋ねた。「ーえっ?!」蛍とセーラのふたりは驚いて顔を見合わせた。どういうこと?!普通の人間には妖精の姿は絶対にみえないはずじゃなかったの!?なんで…?
「あ、あの由香ちゃん?!」
 ふたりは由香のほうへ顔をむけたが、彼女は何も答えなかった。疲れと安堵感からか、可憐な笑みを浮かべながら静かに眠りについていたからだ。
「………由香ちゃん」
 蛍とセーラはほっと安堵のタメ息を洩らして、ほんわりと微笑んでいた。



  VOL・2 アーティスト由香、画壇デビューか?!
         マジックエンジェル・レッド覚醒

  夜。月がきらきら輝いて、グレーの雲がゆっくり流れてふわふわ浮いていた。しんと光る月は、もの悲しくさえあった。
 蛍の部屋のド派手なパッション・ピンク色のベットに由香は安らかに眠っていた。蛍は、赤井由香を自分の部屋に誰にもみられずにそっと運ぶのに成功していた。
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