トリゴニコス・ミソス
フィロス(友)
その奇妙な一行がエオスの宮殿へ向かってからどのくらいたった頃だろうか、ついにその宮殿が見えてきた。

その建物は、まさに宮殿という名にふさわしい様相を呈していた。

ヨーロッパの遺跡などで見られるような太い円柱形の柱が何本も連なっており、石でできた屋根をしっかりと支えていた。

その宮殿の全てが大理石で造られているようだった。

「ほら、ついたよ。ここがエオスの宮殿だ」

そういって、アポロンはその宮殿の前まで車を乗り付けてくれた。

「ここに、イデア君がいるんですね」

「おそらくは。でも、君たちは決して歓迎を受ける客人ではないだろうね。私たちがついていってあげるから、君に危害が加わることはないと思うが……」

「別にあんたたちについてきてもらわなくても結構。美名、行くぞ」

そういって太陽は美名の手を取って宮殿の中へ入ろうとした。

「何用じゃ!」

するとどこからともなく、威嚇するような大きな声が響き渡った。

「ここを、エオス様の宮殿と知っての狼藉か?」

「別に狼藉したつもりは……」

「問答無用。この宮殿に入ろうとした時点で狼藉に値する」

「まあまあ、そんなに怒るなよ。オレたちでも入ることは許されないか?」

「そちは、ヘルメスか。よくみればアポロンにパンもおるようだな。そなたたちは、何ゆえその人間たちと供におるのじゃ?」

「それは、成り行きで。まあ、そんなことはおいといて。せっかく遊びに来たんだし、ちょっと宮殿に入れてもらってもいいか?」

「……そなたたちに免じて宮殿内に立ち入ることを許可するが、エオス様に危害を加えたり、余計なことをするようだったら即刻立ち去ってもらう」

「わかったよ。じゃあ、みんな行こう」
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