トリゴニコス・ミソス
どうにかヘルメスの機転でエオスの宮殿内に入ることができるようになった。

「だから、言っただろう。お前は何でも一人でやろうとする。私のことは気に入らないだろうが、ヘルメスやパンのことぐらいは信用してやってもいいんじゃないか」

アポロンにそういわれた太陽は、ムッとした顔をしたが、ヘルメスに助けられたのは事実だったので言い返すことができなかった。


その宮殿は、とにかく立派だった。

長い廊下の両脇にはいくつもの扉があり、そのどれもが凝った意匠の彫刻が施されていた。

一行はその長い廊下をひたすら進み、最終的には宮殿の外まで出てしまっていた。

しかし、そこには素晴らしい庭園が広がっていた。

色とりどりの草花が美名たちを出迎えてくれた。

その庭の隅にかわいらしい造りの大理石でできた東屋が建っていた。

その東屋の中にはこれも大理石でできた立派な椅子が置いてあり、その椅子には一人の美しい女性が物憂げな様子で腰掛けていた。
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